陰謀論を信じていると不幸になります

先日、ようやくマイナンバーカードを申請しました。

最近、政府が「マイナンバー制度」に力を入れ始めたので、「フリーメーソンが狙う人類奴隷化管理計画」の本格始動だとか言っている記事が増えていますね。

もうね、雑誌「ムー」が騒いでいるのならいいけれど、いい年した大人が陰謀論を信じているなんて、びっくりです。
そういう妄想を広める悪徳商売にかかわらないことです。(理由は後述)

まず、「マイナンバー」のような制度を構築している国を列挙します。

  • フランス
  • アメリカ
  • イギリス
  • カナダ
  • ドイツ
  • オーストリア
  • イタリア
  • スペイン
  • オランダ
  • フィンランド
  • アイスランド
  • スウェーデン
  • オーストラリア
  • シンガポール
  • マレーシア
  • タイ
  • カンボジア
  • インド
  • エストニア

最後に書いたエストニアの電子政府化はものすごく進んでいます。ここを見ればyoutubeで報道を見られます。電子政府をうらやましく思うはずです。

効率的な行政と、脱税阻止はまともな政府であれば目標とするべきことです。
しばしば「マイナンバーで所得がつつぬけ」と書かれていますが、筒抜けになってなにが悪いのでしょうか?
あなたや私のささやかな預金口座を調べられても、いまさら課税対象とはなりません。ささやかな副業でちょっと稼いでも年間200万円以下なら非課税です。

筒抜けを恐れるなら恐るべき事は12月の「年末調整」です。あれこそは、日本国民給与所得者は全員提出の義務があります。
そういうことには違和感すら覚えず、なぜマイナンバー制度だけ「奴隷化管理」なのでしょうか?

そして憎むべきは脱税ではないでしょうか?
我々は日々、税金と第二の税金と呼ばれる社会保険料に苦しんでいます。
しかし、おカネを稼いでいる人ほど、収入源は複数に渡ります。だからこそマイナンバーを利用して名寄せをすれば、脱税がわかるのです。
マイナンバーに反対しているということは金持ちの脱税を見過ごしつづけるということですよ?
水商売や風俗をしている人はものすごい金額を稼いでもほとんどの場合、税金を払っていません。脱税です。これがマイナンバーでしっかり名寄せされれば、稼いだ総額がわかり税務署も脱税を見つけやすくなるのです。

ちなみに税務署員にもノルマがあります。それゆえチマチマちした私やあなたの口座の検査などしません。普通のサラリーマンを税務署が相手してくれるのは、相続税の支払いの時くらいかと思います。
(ちなみに私は税務署にゴチャゴチャいわれたくないので、近所の税理士の看板を見て駆け込んで、税務処理してもらいました。当然、税務署からの問い合わせはありません)

さてここからは当事者の話を書きたいと思います。もう時効でしょう。
私はいろいろとITシステムの仕事をしてきました。10年以上前にできたばかりの「マイナンバーシステム」に少しだけ関与したことがあります。
システム規模に比べてあまりにもトランザクションが少なかったので当時から問題でした。計画した役所はすぐにマイナンバーが国民に広く行き渡るだろうから、それなりの規模のシステムを用意したのですが、他の官庁や国民からそっぽを向かれたからです。
スタートのころはかくも情けない状況だったのです。
あれから10年以上経ち、ようやくマイナンバーの普及活動が始まりました。なんと遅い歩みでしょうか。陰謀論の主導者がいるなら、とっくにクビを切られています。
そうしてその10年以上は行政は世界の水準からすると、非効率のままだったということです。

プライバシーでもそうですが「誰に見られるかわからない」というのが不安の元なのだと思います。そういう不安対策のためにマイナンバーシステムには「やりとり履歴」という機能があります。この機能を使うことを請求すれば、誰があなたのマイナンバーを参照したかわかります。システムとして監査に耐えるには必須の機能です。

し・か・し、マイナンバーが漏れる最大の原因はあなた自身だと言われたらどう思いますか?

今、民間の業者、例えばネットカフェなどで「免許証のコピーを取らせてください」と言われ、差し出してコピーを取らせていませんか?マイナンバーカードも身分証明に使えますと言われたら、差し出しませんか?
民間のいつ消えるかわからない業者の「プライバシー規定」なんて信用できるでしょうか?国のセキュリティが綻びるより、そのほうがよほど危険です。

まとめます。
マイナンバーカードのようなものは世界中で行政を効率化するために必要な技術であって、日本だけがこれまで恥ずかしいくらいに遅れていたことです。

そして情報漏えいを心配するならば、自分自身の振る舞いを気をつけるべきなのです。

これらのことでわかるとおり行政の効率化に必要なシステムに「人類奴隷化管理計画」だとか名付けて、一部の人間が自分をいじめようとしているという妄想で被害者気分に浸ることは自分の責任を棚上げできて心地いいことでしょう。
実体があるかすらアヤシイ見えない誰かを批判していれば、誹謗中傷で訴えられることもありません。

しかしそれは「自分の人生は誰かに操られている」ということを信じることであり、旧統一教会に騙されて地獄やら悪魔やら信じて、上納金で解決しようとしていることとなんら変わりはありません。
インチキ宗教の教祖とあまり変わらない連中の、陰謀論や恐慌論の本を買い、セミナーに出席することこそ彼らとその仲間を太らせているだけです。
「極秘の情報」が本屋でブックオフで平然と売られていることに疑問をもってください。それを読んで「俺は極秘の情報を知っている」と錯覚するならば、ものの見事に著者の罠にひっかかっています。
おカネと時間の無駄です。
そういう悪辣なビジネスモデルにひっかからないようにしてください。

世界は一部の人がコントロールできるほど単純にはできていないのです。それをやろうとして失敗している北朝鮮やロシアを見てください。
世界は国家と資本家の戦いのほうが景気に重要な影響を及ぼしています。
ちょっと世の中を観察すれば、決して一枚岩でないことに気づきます。

国民のひとりとして行政の効率化に関心をもつ、という主体的なかかわりをしなければ人生が上向くわけもありません。
投票行ってますか?

関連記事